ピンポン。

そんな間抜けな音が家に響く。

誰だ?



扉の向こうにいたのは、七原だった。










Jasmine












「何でそんなにびしょ濡れなわけ?」

「好きなんだ」



まただよ。

国語が出来る奴は皆こうなのか?

時々意味不明な言葉を放つ。



「は?」

「雨に濡れるの」

「それで風邪ひいたらどうすんだよ」

「だから三村ん家来たんだ」

「いいから入れ」



七原をうちの中に入るように促す。

何気なく触れた手はめちゃめちゃ冷たい。



「ちょっと待て。風呂入れ、お前」

「大丈…」

「俺がやなの」



そう言って、七原を強引に風呂場まで連れて行く。

冷え切った身体を温めさせなければ。



「ほら、入れよ」

「ありがと」



七原は扉の奥へと消えていった。

七原が出てくるまでの間に俺は紅茶でも入れておくことにした。



「ありがと、三村」

「温もったか?」

「うん、もう大丈夫」

「じゃぁ、三村クンの入れた紅茶でも飲んでなさい」



自慢じゃないが、俺の淹れた紅茶はそこら辺の喫茶店のよりも上手い。



「三村、これ何茶?」

「ジャスミンティー。身体を温めたりリラックスさせたりする効果があるの」

「へぇ、上手いなコレ」

「そりゃぁ、俺が淹れたやつだし?」



口の端をニッと吊り上げて笑う。



「七原クンvv」

「なんだよ、気持ち悪い」

「ジャスミンに催淫作用があるって知ってた?」

「さ、催いっ…」



あらま。

七原クンフリーズしちゃったよ…。

やっぱり刺激が強すぎたかしら?



「おーい、ななはらー?戻って来いよ」

「何考えてんだよ、馬鹿」



そう言った七原の頬は、ほんのりと蒸気していた。

もしかして…ホントに効いてるのか?



「七原、顔赤いぞ?」

「お前が変なこというからだろっ」



悪態をついてはいるものの、涙に眸が濡れてきている。



「七原君ものってきたみたいだし、やろうぜ」

「やだぁ…」

「ホントに感じてんのか、七原?」

「だって、あれ催淫効果があるって…」

「いや、そうだけど…っ!!??」



突然、七原が首に手を回してキスをしてきた。

俺は驚いて、暫く頭の中が真っ白だった。

七原が自分からキスをしてきたことなんて1度もない…。

これはマジで効いてるのかもしれない…。

七原のキスはお世辞にも上手いなんて言えるものじゃなかったけど。

唇を放そうとするのを惜しむかのように、俺は強引に七原の舌を絡め取った。

言っとくけど、お前が悪いんだからな?



「っふ…ぅ、ン…」



微かな唇の隙間から啄ばむように息を吸うのもまた可愛い。

何でお前はそんなに俺を虜にするんだ?



「みむらぁ・・・シよ?」



舌っ足らずな話し方でおまけに上目づかいと来たもんだ。

誰がこんな誘惑に耐えられるだろうか?

俺はほんの僅かの理性を無視し、欲求に従うことにした。







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