揺れる水面を眺めながら
ただ
深い青に吸い込まれていく
そんな夢をみた
溺れる魚
「夢は願望充実である」
なんて言った精神分析者がいる。
ならば、あの一面青の夢は俺の願望の現われなのだろうか。
否、どんな願望かなんてとっくに分かっている。
叶えたくて、同時に叶ってほしくない、ネガイ
放課後、1人で考え込んでいた。
これから俺はどうするべきなのかを。
「三村」
「んー?」
「また何を考え込んでるんだ。」
「杉村にはお見通しってワケね。」
杉村の勘のよさには随分助けられている。
正直、こういう時には頼りになる存在である。
「どうした?」
「俺ね、好きな子ができちゃったんだよねー。」
「それで?」
「俺はどうするべきなのか、ってね。」
「ラシクないな。」
そんなことは自分が1番分かっている。
校内一のプレイボーイと自他共に認めるサードマンが何たる様だろうか。
「相手が男で、親友ってだけでお前はどうしたらいいのか分からなくなるような奴か?」
「・・・七原だからな。」
「それはそんなに重要なことなのか?」
「俺の中じゃな。七原を性対象として見てる自分を俺が受け入れないんだ。」
七原を好きだと思う感情が体の中で分離している。
どうしてもその一線を越えることができなかった。
「今日、夢を見たんだ。」
「夢?」
「水面を見上げながら、海の中に沈んでいく夢。なぁ、この夢は俺に何を訴えかけてるんだ?」
「その夢はお前の七原に対する感情の現われだろう?」
「それくらいはわかってるさ。何を望むんだ、俺は。」
「海がお前の心で、水面を七原だと仮定すると、お前はその気持ちの中に溺れたいんじゃないのか?」
七原への気持ちに溺れていく自分。
水面に揺れる七原の顔。
俺は、愛に溺れたかったのかもしれない。
「今のお前は『溺れる魚』だな。」
「恋愛は得意分野のはずなのになー。」
「どうするか、決まったか?」
「サンキュ。っし、サードマンの本領発揮といきますかねー!!」
ゆらゆらと揺らめく水面へ手を伸ばして
波のような存在をこの手の中に
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