七原の周りには何か見えない壁があったように思う
柔らかい殻
「信史?」
「ん?」
「ねぇ、しよーよ。」
「オーケイ。」
屋上で、たくさんいるカノジョの1人とイケナイことをする。
もちろん、誰も本気で好きなわけじゃないけど。
「信史・・・」
彼女は化粧と香水を香らせて、キスをせがむ。
こういう行為が嫌なわけではない。
可愛い彼女の要求に応えようとした時、バタンと扉の閉じる音がした。
あいつ確か・・・・
目の前の女はそんな音には気がつかなかったようなので、とりあえず行為を前へ進めた。
「よぉ、”ワイルドセブン”」
翌日、隣のクラスの有名人『ワイルドセブン』こと『七原秋也』を訪ねた。
「昨日はどうも。」
「ザ・サードマン。干渉する気はないけど、場所くらい弁えろよな。」
「あれ、俺のこと知ってんだ?こりゃ、光栄。」
「校内でお前のこと知らない奴の方が珍しいだろ。」
目の前の人物は、あまりに『ワイルドセブン』からかけ離れていた。
穏やかな口調
少し色の抜けた軟らかい猫っ毛
整った顔に浮かぶ笑み
そのどれもが、俺の中の『ワイルドセブン』とはあまりに異なっていた。
「俺さ、実は三村と話してみたかったんだ。」
「三村ー?」
「ん?何デスカ、七原クン?」
「どーかした、ボーっとして。珍しい。」
「んー?七原と初めて会った時のこと思い出してただけよ?」
嗚呼
俺はきっとあの瞬間から七原を好きになったんだ
七原は全てを受け入れるかのように見せかけて
全てを拒絶する薄い柔らかな殻を被っていたけど
あの時、それが外れた気がしたんだ
「だから、話しかけてくれて嬉しいかも。」
そう言って笑ったその顔に惚れたんだ。
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