雨に打たれた俺を拾ってくれた人
優しいアナタ
きみはペット 2
柔らかい朝日の差す部屋で目が覚めた。
こんなことは何年ぶりだろうか。
あそこにいる間、久しく太陽なんて見てなかった気がする。
いままでとあまりに違いすぎる周りの景色に戸惑う。
そして同時に、その事実を嬉しく思った。
「秋也?起きた?」
「おはようございます、三村さん。昨日は本当にありがとうございました。」
「どういたしまして。こっちこそいい思いさせてくれて、ありがとう。」
その言葉の意味に思い当たり、思わず赤面する。
昨夜は勢いにまかせて、とんでもないことをしてしまった。
「アラ?照れてる?昨夜はあんなに大胆だったのに。」
「昨日はどうかしてたんです。あんなことしてしまって・・・・すみません。」
「いいって、いいって。秋也みたいな可愛い子だったら、俺的には全然オーケイだから。」
頭をポンッと軽く叩かれ、髪をグシャグシャに掻き回される。
「もー、ぐちゃぐちゃになるでしょ!!」
「ごめんごめん。それより、腹減らない?ご飯にしよう。」
「ハイ。」
朝食はトーストとハムエッグと野菜サラダだった。
こんなまともなご飯を食べるのは本当に久しぶりな気がする。
「三村さん料理上手なんですね。美味しいです。」
「どーいたしまして。」
「三村さん、お仕事よろしいんですか?こんな時間ですけど・・・」
「あー、全然大丈夫。こう見えても社長だし、どーにでもなるから。」
「社長!!?」
どうやら、俺は、とんでもない人に拾われたらしい。
「今日1日オフにしてもらったからさ、買い物行こっか?いろいろ買い揃えないといけないし。」
「そんな、いいですよ、俺。気になさらないで下さい。」
「一緒に暮らすわけだし、そういうわけにもいかないでしょ?」
「・・・・ありがとうございます。」
「ところで、そのまま外出ても大丈夫?誰かに探されてたりしない?」
「あ・・・・」
「やっぱりそうか・・・」
「ごめんなさい。」
「いやいや、いいよ。ちょっと待っててくれる?」
三村さんは誰かに電話をかけはじめた。
一体どうするつもりなんだろう?
「お兄ちゃん、来たわよー?」
暫くすると、見知らぬ人の声。
「おー、郁美。悪いな。」
「ケーキオゴリね。」
「はいはい。頼んだ物持ってきたか?」
「バッチリ。」
「じゃー、お願いします。」
自分と同年代くらいに見える、女の子。
手には大きな荷物を抱えていた。
「郁美、彼が秋也。秋也、コイツは妹の郁美。」
「はじめまして、秋也君。三村郁美です。」
「ハジメマシテ。」
「早速始めよっか。秋也君コレ着てくれる?」
渡されたのは、白いワンピース。
「・・・・・・・・・・・あの、コレ・・」
「女装したら気付かれないだろ?秋也だったらいけるって。」
「はぁ・・」
女装自体に大して抵抗があるわけではないので、素直にワンピースに袖を通す。
「ちょっとこっち来てくれる。軽くお化粧しよ?」
薄い色のリップとチークを施される。
どこからどう見ても女の子な自分が怖い。
「どう、お兄ちゃん。上出来でしょ?」
「そりゃ、元がいいからなぁ。郁美より可愛いんじゃない?」
「言われなくても分かってますー。」
「さて、準備も整ったところで、買い物行こっか?」
「はい。郁美ちゃん、わざわざありがとう。」
「どういたしまして。」
日用品とか、服だとか、いろいろと買い揃えて三村さんの家に帰る。
よく見ると、かなりの高級マンションのようだ。
そういえば、買い物時に三村さんがブラックカードを持っていたのには驚いた。
どうやら俺は、とんでもない人に拾われたらしい。