Stand by me










Just as long as you stand, stand by me.

so, darling, darling stand by me,

oh, stand by me, oh, stand by me.




部活を終えて廊下を歩いていると、教室から歌声が聞こえた。



―――七原だ。



俺が教室に入ったことにすら気付くことなく、七原は歌い続ける。


こんな艶めいた声で愛の唄を歌うのは罪だ。

誰もが彼の虜になるのがわかる気がする。



そう言えば、今日は朝から2人とも女の子に呼び出されっぱなしでロクに話してない。

なんだか七原の声を当分聴いてなかったような気さえした。




『あなたが傍にいてくれるだけで強くなれるから、だからずっとずっと傍にいて』




なんて歌詞だ。

そう言えば、七原ラブソングを歌うのは珍しいかもしれない。

七原のご贔屓といえば、もっと熱い想いを詩にしたようなそんな歌が多かったような気がする。

しかも、今日そんな歌を歌っているということは、少し自惚れてもいいということなのだろうか?



「珍しいな、ラブソングだなんて。」



七原が歌い終わるのを待って声をかけた。

すると、七原は存外に驚いた様子で答えた。



「・・・・・・いつからいたわけ?」

「そうだな・・・歌い始めたくらいから?」

「なら声かけてくれればよかったのに。」

「そんなこと、勿体無くてできるわけないだろ?」



意味が分からないといった様子できょとんとした七原に耳打ちする。



「七原の愛の告白、最後まで聴かないと勿体無いだろ?」



七原は顔を赤くして口をパクパクさせていた。

そんな様子は、たまらなく愛しい。



「七原クン、今日何の日か知ってる?」

「バレンタイン?」

「ピンポーン、大正解!!ところで、チョコとかくれたりしないわけ?」



七原は何か思い出したような素振りで、自分の机に向かった。

そして小さな包みをかばんから取り出す。



あ、もしかしなくてもチョコ用意してくれてたりして。



「コレ、あげる。」



慈恵館で女の子達が作ってたからついでに作っただけだけど、なんて言いながら。

綺麗に包装された包みを開くと、中にはハート型のチョコレートが3つ入っていた。



「コレって、七原クンの手作り?かなり嬉しいんだけど。」

「わざわざ作ってやったんだからありがたく頂けよ?」

「コレ、今食ってもいい?」

「お好きにどーぞ?」



チョコを1つ摘み、口に含む。

七原は目の前で食べられることが少し恥ずかしいらしい。

顔をほんの少し赤くして、俯いている。

顎に手を当てて顔を持ち上げながら、ゆっくりと唇を近づけた。

瞬間、驚いた表情の七原と目が合って少しビックリした。



「ハッピーバレンタイン。」



唇を放して耳元で囁くと、七原は小さく、バカ、と呟いた。


















甘いチョコレート味のキスと共に、世界中の恋人達へ









Happy Valentine.














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