小さい頃、姿見を出してきて自分の姿をよく眺めた
片割れと全く同じ自分を見て、それを彼に重ねるように
薄い鏡1枚を隔てて触れる指先は、本当に触れ合うことはないのだと知りながらも
それは甘い、甘い錯覚
合わせ鏡
「全く、俺もバカだよなー・・・」
未だに叶わないと知った想いを引きずっている自分を馬鹿だと思う。
相手は同性な上に、兄弟―しかも双子ときたもんだ。
誰だって気持ち悪いと思うに決まっている。
それがわかっていても、やはり想いを捨てることは出来なかった。
そして未だに1人の時に時々姿見に見入っている。
「どうかしたのか、ジョージ。最近変だぜ?」
「なんでもないよ、リー。それより次の悪戯の計画でも立てようぜ?」
どうやら無意識のうちに声に出していたらしい。
不審がる悪友を、持ち前の強引さで何とか誤魔化した。
「なぁ、ジョージ。間違ってたら悪いんだけど・・・・」
「何?」
「・・・・・お前ひょっとしてフレッドの好き?」
心の中で、何かが音を立てて崩れた。
一生心に秘めるつもりだった想いを、まさか他人に知られていたなんて。
もしかして、勘のいい片割れも気付いて―?
「その反応は、イエスととっていいって事だよな?」
意外と普通な悪友の反応に、ほんの少しの疑問を抱いた。
コイツは俺が気持ち悪くないのだろうか?
兄弟を愛しているこの俺を罪だとは思わないのだろうか?
「お前、俺のこと気持ち悪くねーの?」
「そんな奴だったらお前らと6年も一緒にいねーって。」
「いつ気付いた?」
「何って言うか、自然に?あぁ、コイツはフレッドのことが好きなんだな、って感じで。」
「絶対誰にも気付かれない自信あったのになぁ・・・・」
「お前言わないつもりか?フレッドに。」
「何って言うんだよ?言えるわけないだろ・・」
言えるわけがない。
否、言っていいはずがない。
この想いは、禁忌なのだ。
「お前はそれでいいのか?この先ずっと見てるだけで。」
「あぁ、それでいい。一生相棒のポジションでいいさ。十分だ。」
「フレッドに彼女が出来ても、お前はそれを祝福するのか?」
「するさ、今までずっと騙してきたんだ。これからもずっと永遠に。」
それに、気付かれないことを前提にこの恋は成立するのだ。
気付かれた瞬間に、この想いは粉々に砕かれる。
「それに、フレッドは今ハリーと恋愛中だろ?」
彼の想い人は自分ではなく、可愛い後輩。
ハリーはいい子だと思うし、2人はお似合いだと思う。
自分は、初めから表舞台には立てないのだ。
これは、この想いを抱いた瞬間から分かっていた事。
「普段常識外れなことばっかりしてる割には、意外と常識人なんだな。」
「煩ぇよ。」
「天下のウィーズリーが何ウジウジやってんだよ、そんなつまらない常識なんか捨てちまえよ。」
「だから煩いって・・・・・・っ」
目から熱いものが零れ落ちた。
まるで、胸に潜めた想いまでも洗いざらい流すかのように。
「ジョージ・・・・」
それから、俺はバカみたいに泣き続けた。
情けないけど、リーの胸を借りて。
「おっしゃ、当たって砕けてくるわ。」
「おぅ、帰ってきたらスネイプの奴にでも八つ当たりしようぜ?」
「あぁ。」
部屋を出て、階下に愛しい片割れの姿を見つけた。
そして、戸惑うことなく、人目も気にすることなく、大声で叫んだ。
「フレッドー、俺、お前のこと好きだーっ!!!」
愛しい愛しい相棒は、ちょっとだけ驚いたような顔をして
、「ハリーの次だけど、俺もジョージのこと好きだぞ!!」
と、また大声で返してきた。
周りにいた奴らは騒いでたけど、すっきりしたからいいことにしよう。
ホントは、ほんの少しだけ胸が苦しくて、ほんの少しだけ泣きそうだったけど。
それもよしとしよう。
多分、もう鏡の中にフレッドを求めることはないだろう。
これでやっと、前を向いて進むことが出来るのだ。
いのち短し 恋せよ乙女
紅き唇 あせぬ間に
熱き血潮の 冷えぬ間に
明日の月日は ないものを
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